未来に残す
二百年住宅

For The Future

二百年住宅を建てよう

産業革命からおよそ200年。

人間活動の結果、刻一刻地球温暖化が進行しています。
今、ヨーロッパはCO2の排出量を産業革命前の水準に戻そうとしています。
京都議定書には調印しなかった米国もこれに同調し、世界は大きく動こうとしています。


文明の裏側で、
大量の建設廃棄物が発生しています。

短サイクルの建築を造り続けた結果、ゴミの量が波状的に増大しています。
捨てなければゴミになりません。
リサイクルすれば資源になります。


長く生き続ける住宅は、
未来世代に対する贈り物です。

200年を見わたす視座を持つと、
次の200年のために、今、何をしたらいいかが見えてきます。


大気中のCO2濃度の
経年変化

大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命以降、指数関数で増大しています
出典:IPCC第4次評価報告書2007

700年から2100年までの
気温変化(観測と予測)

出典:IPCC第4次評価報告書2007
※2000年までの過去観測部分は北半球のデータ
1961〜1990年の平均値を0.0℃とする。
※2000年以降の予測部分は全地球における予測データ1980〜1999年の平均値を0.0℃とする。

無垢の木でつくる正直な家

正直な家を説いたのは、アントニン・レーモンド(※1)です。
レーモンドは、若い所員に向かって、毎日のように五つの原則(プリンシプル)を説いたといいます。五つの原則とは、自然(ナチュラル)単純(シンプル)直観(ダイレクト)正直(オネスト)経済(エコノミー)を言います。この五つは、相互に関連し合っていて、およそ自然のものは単純であり、単純なものは正直であり、それは結果において、およそ経済的なものときまっています。私たちはそのような家づくりを目指しています。

ストック型社会の実現に向けて、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」が全会一致で可決しました。「超長期住宅」あるいは「二百年住宅」と言われるものは、この法案に基づいて提案されたものです。この法案は、「長期にわたり良好な状態で使用される措置がその構造及び設備について講じられた優良な住宅(長期優良住宅)」の普及を促進するのが目的で、耐久性が高く、内装や改修が容易にできる住宅を認定し、改修履歴を記入した「住宅履歴書」を普及させて中古住宅の流通を促進することも視野に入れるものです。

ストック型社会への転換に向けて、いま住宅に求められるものが大きくかわりはじめました。いままでのような、大量生産・大量消費ではなく、「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」ことが求められています。

※1アントニン・レーモンド(Antonin Raymond,1888年5月10日-1976年10月25日)はチェコ出身の建築家。フランク・ロイド・ライトのもとで学び、帝国ホテル建設の際に来日。その後日本に留まり、モダニズム建築の作品を多く残す。日本人建築家に大きな影響を与えた。作品:カニンガム邸(東京都港区/1953年)群馬音楽センター(1958年)国際基督教大学図書館(1960年)新発田カソリック教会(新潟県新発田市/1962年)など

住宅の寿命

平成8年に国土交通省が試算したデータ。
※印のみ平成12年の公庫利用者調査より抜粋


唐招提寺にある校倉造り

日本は「木の家」だからスクラップ・アンド・ビルドなのでしょうか?
いいえ、日本には千年も建ち続けている木の建築物がたくさんあります。今のように何もかも捨ててしまうやり方は、ここ数十年のことに過ぎません。この国は、もっとものを大切にしていた国ではなかったのでしょうか?唐招提寺の経蔵、宝蔵は、校倉造になっていて、調べてみると、正倉院の校倉造よりも古い日本最古の木造建築です。

6つのSの層

① 敷地(SITE)
建物が世代交代しても変わらない。

② 構造(STRUCTURE)
躯体は、建物のなかで最も長持ちさせたい。丈夫に造っておきたい。

③ 外装(SKIN)
25〜30年で取り替える。

④ 設備(SERVICES)
稼動するものは壊れ易い。躯体と独立させ、壊さずに取り替え可能に。

⑤ 空間設計(SPACE PLAN)
家族と生活の変化に合わせても自在に変化できるインフィル設計を。

⑥ 家具調度(STUFF)
台所・照明・家具・絵画・歯ブラシなどは、すぐに変るもの、家より長く生きる椅子もあったりする。

参考資料:スチュワート・ブラウン著『建築はいかにして学ぶか―建てられたあと何が起きるか』より
(原題/HOW BUILDING LEARN-What happen after they rebuilt)

ブラックボックスのない、
正直な家。

考え方

私たちの宮城県・仙台市は1978年6月に発生した「宮城県沖地震」と同程度の規模以上の地震が今後10年以内に70パーセント、30年以内は99パーセントの確率で発生するといわれています。日本列島は、地球を覆っている十数枚のプレートのうち4枚のプレートの衝突部にあって、世界的にも活発なサブダクションゾーンのフロントに位置しています。日本列島は、地震が起こることを避けられない列島なのです。また、この列島は、台風の通り道であり、さらには集中豪雨や強い季節風、大雪、寒波などの自然災害が、たくさん襲ってきます。もともと家は、身を守るためのシェルターでした。これらの自然災害に耐えられる「強さ」を、建物がしっかり保持することが、いのちと財産を守る基本です。

http://www.zenchiren.or.jp/tikei/zeijaku.html より

建物に掛かる力

建物には、いろいろな力が加わります。
固定荷重(建物の自重)、積載荷重(人間や家具などの物品類の重量)、積雪荷重(屋根に積もった雪の重量)などを鉛直荷重といいます。 それとは別に、風圧力や地震力など、横からかかる力の水平荷重があります。 鉛直荷重は、屋根や床などの面が受け、それを伝わって根太や梁に伝わり荷重は柱に集まります。 このように構造部材に集まったカは、向きを変えたり、伝達したりしながら、基礎や地盤に伝わります。
建物の構造で大切なことは、建物に掛かる力を受け止めると共に、スムーズに大地に伝えることです。

耐震等級2

耐震等級とは、数百年に一度発生する地震(震度6強から震度7程度)の地震力に対して、建築主が、耐震性を判断する目安となるように3段階の耐震等級が表示されています。
等級1は現行の建築基準法に定められた耐震力を持ちます。
等級1の建物は「数百年に一度発生する地震(震度6強から震度7程度)の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(震度5強程度)の地震カに対して損傷しない程度」の耐震力を持ちます。
私たちの提案は耐震等級2です。耐震等級2は、現行の建築基準法に定められる地震力の1.25倍の地震力に耐え得る建物です。木造2階建の建物が、震度7の地震で倒壊する確率は、等級1の場合で28%、等級2の場合で7.9%、等級3の場合3.5%とされます。


許容応力度計算

建物の構造計算には幾つかの方法があります。
当会では「許容応力度計算」を行うことを推進しています。
理由は、許容応力度以外の計算方法(仕様規定等)は耐力壁がメインで梁・柱・基礎・地盤の設計に関しては安全性を見ていません。そのため、ただ単に耐力壁量を1.25倍、1.5倍として強くはなっていますが、明確に建物が耐震等級2・3と言い切れないのが現状です。
より安全な許容応力度計算を行い、長期優良住宅を建設することをお勧めします。

不同沈下の原因

建物劣化を軽減させる対策3

建物の耐久度と、長持ちの程度をランクづけしたものです。
住宅に用いられる材料は時間が経過するにつれて、湿気や大気中の汚染物質などの影響受けて、腐ったり、錆びたりして、劣化します。この基準は、材料の劣化を軽減する(劣化の進行を遅らせる)ための対策が、どの程度のものかを評価するものです。
1〜3の等級で表示され、等級3では3世代(75年〜90年)、等級2では2世代(50年〜60年)の期間、大規模な改修工事は必要ないと判断されます。

地盤調査

第三者機関によって、地盤または杭の許容支持力と、基礎の方法を判定し、保証機関が瑕疵保証します。
周辺の土地全体が地盤がよくても、造成開発された土地の場合は切り土、盛り土などによって異なり、よく締る土が埋められているかどうかによっても異なります。
軟弱な土地に対しては、その対策を講じなければなりません。恐いのは不同沈下であり、地盤改良工事(表層改良・柱状改良・小径鋼管杭工法など)を必要とする土地もあります。

住宅性能評価

「スクラップアンドビルド」と呼ばれた、今までの「大量生産・大量消費」のフロー経済が否定されて、長く使うことのできる良質な住まいが求められています。「ラベリング制度」といって、その性能や価値を「客観的」に示すことが求められています。「設計住宅性能表示」では、設計・建築された住宅について「日本住宅性能表示基準」に従って表示された性能を、評価基準(必須9項目・選択1項目)にしたがって評価します。
必須9項目とは、① 構造の安定、② 火災時の安全、③ 劣化の軽減、④ 維持管理への配慮、⑤ 温熱環境、⑥ 空気環境、⑦ 光・視環境、⑧ 高齢者等への配慮、⑨ 防犯への配慮、選択1項目が音環境です。長期優良住宅先導モデルでは、① 耐震等級2、② 劣化対策等級3、③ 維持管理対策等級3、④ 省エネルギー等級4、が基本性能として要求されています。
計画にあたって、指定審査機関による設計性能表示を受けて、この基本性能を担保していることを示すことが求められます。第三者機関による設計審査があるので安心です。

住まいは
生活の容器

考え方

暮らしの用に応えられなくなったとき、住まいは朽ちます。住まいは耐久性だけでなく、生活の容器なので耐用性が大事です。昔の民家に見られる田の字型プランが、幾世代もの生活の変化に応えられたのは、「間」によって構成された部屋を、その時々の生活に合わせて自在に使いこなせたからです。

部屋は、障子や襖(ふすま)といった可動間仕切りで構成され、冠婚葬祭の場になり、居間や寝室になり、客間になり、隠居部屋や子ども部屋にもなりました。戦後、ルーム(部屋)に空間が目的限定化されて、この自在性が失われました。プライバシーの尊重は進みましたが、家族の行き通いの関係が少なくなりました。今、住まいに家族の団居(まどい)をもとめる人が増えています。住まいは生活の拠点であり、生活の容器であり、子どもが育つ場です。

家族の構成は変化する

家を建てたときの家族構成と、その10年後、20年後、30年後の家族構成は、かなり違います。しかし、家を建てるときは「現在の家族の同意」で設計する人が大半です。「間取り」という言葉は、部屋の陣取り合戦めいていますが、10年経つと、子どもは離れ、親は亡くなりという場合がなくはありません。家族の変化に合わせて、住まいも変化できるようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
わたしたちの提案する二百年住宅(長期優良住宅)では、室内の間仕切りをできるだけ動かすことができるよう構造に必要な壁を外周部に設けるよう設計します。

スケルトンとインフィル

これまでの家は、部屋の間取りがそのまま建物の構造上の役割を持っていました。2室を合わせて広い部屋にしようとしても、柱が邪魔をしていて、それを安易に動かすと、建物の構造に支障をきたします。スケルトン(躯体・骨格・構造)とインフィル(内装・設備・プラン)が分かれていれば、部屋のリニューアルは自由にやれます。時代とともに変わる建物への要求や、ライフスタイルや家族構成の変化に応じて、自由に、自在に、安全に変えることができます。

省エネルギー対策等級4

等級4は、最高級の次世代省エネ基準程度とされます。この基準は、省エネルギー法に基づいて「省エネルギー基準」(1980年基準)→「新省エネルギー基準」(1992年基準)→「次世代省エネルギー基準」(1999年基準)として発展されてきました。
断熱性能の低い住まいでは、寒さや暑さをしのぐために膨大なエネルギーを消費します。またそのために排出される二酸化炭素が地球温暖化に拍車をかけています。

次世代は新省エネ基準に比べて10~30%程度の省エネ効果の向上が図られています。年間暖冷房負荷の基準や、夏期日射取得係数の基準の強化、気密性能を全国的に適用し、熱損失係数の基準値の強化、さらに防露や換気、暖冷房、通風計画・空気汚染の配慮事項の明確化なども基準化されました。

次世代基準は「閉じる機能」と「開ける機能」を併せ持った住宅にしたのがポイントとなっています。「閉じる機能」とは断熱化・気密化のことであり、「開ける機能」とは、春などの気候が良い季節においては外気を取り入れる考え方が採用されています。(宮城県はIII地域がほとんどですが、計画地によってII地域の場合があります。あらかじめ計画地に求められる断熱性能をご確認ください)

長期優良住宅

この事業は「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」ことができる住宅です。
「宮城の伊達な杉の家を創る会」が、これからのストック型社会における住宅のありかたを先導する目的で取り組んでいる「長期優良住宅」は、地域型住宅グリーン化事業において100万円の補助金を受けることができます。またその普及啓発と「ストック型社会」の実現に向けて、国の税制優遇措置が講じられます。
固定資産税の優遇、所得税控除などさまざまな優遇措置とあわせて整備される、長期の優遇低金利ローンの応援があります。

設計の要件

補助金交付を申請するには、建物の「基本性能確保」が要件となります。国に提案した先導的モデルとして「長く大切に使うことができる」家としての性能が求められます。
「宮城の伊達な杉の家を創る会」では、会員に向けて二百年住宅のマニュアルを作成しました。また勉強会を開催し、「先導モデル」について理解を深めながら品質管理にあたっています。申請時に設計住宅性能評価書、または、登録住宅性能評価機関が発行する基本性能を確認した旨の書類を添付しなければいけません。

脱衣室・浴室の温度の違いによる血圧の変動

参考資料:「入浴経過に伴う室温別収縮血圧の変化」/国立公衆衛生院

飽きがこない、
シンプルなデザイン。

考え方

スクラップ・アンド・ビルドは、建物が朽ちたからというより、経済活動の影響の方が大きいと言われていて、それぞれの思惑で建てられた日本の街並み景観は、非常に切ないものがあります。建物は、どうであれ地域の風景をかたちづくります。わたしたちは、子や孫に残すべき最大の財産は、建てた建物そのものであり、美しく、調和のとれた建物を生むべく、設計を大事と考えます。

時間デザイン

美は、絶えず動いています。窓から見えていた山や川、公園の樹木が、お隣にマンションが建って、見えなくなるかも知れません。前の道路が拡幅され、通行車が増えて、落ち着きを失うかも知れません。わたしたち「宮城の伊達な杉で家を創る会」では、根拠を持つデザインを重視しています。
窓の上に設ける小庇(ひさし)は、決して飾りではありません。庇は、人間の顔でいうと眉毛や睫毛(まつげ)にあたります。もし眉毛や睫毛がなかったら、雨はもろに目に入り込みます。住まいは、人間の身体と同じように制御装置を持っています。その機能性が、美しさを生むのです。庇があれば、弱い雨の日なら窓を開け放っておけます。時間を経ると、建物自体も変化します。色褪せたり、貧相になる材料(プラスチック類)ではなく、年月と共によくなる材料(木や土など)を選びたいと思います。ものが時間の経過と共に変化することを老朽化ということでくくりたくありません。使い込んだ道具や家具に対して、人は愛着を感じています。あめ色になった板壁や梁は、家族の歴史を記憶していてくれるように思ったりします。5月5日に付けられた背比べの柱のキズは、家族の記録です。

変化

きちんとお手入れ、
変化に応える住まい。

考え方

メンテナンスフリーという言葉が用いられるようになったのは、いつ頃からでしょうか?
昔は、メンテナンスするのが普通でした。しかし、自動車や電化製品が普及し、特にIT技術が進化してからというもの、専門家でないと一般の人には扱い難くなりました。そしてそれが、いつの間にか住宅でも言われるようになりました。それと併せるようにして、住まいの中に均質で無機質な工業製品が多用されるようになりました。ビニールクロスの家は、竣工したときがピークです。土壁や板壁の家と違って、年を追うことに貧相になります。それでいて、いつでも新しい家だという顔をしたがる材料です。ビニールクロスの家と土壁の家では年の取り方が違います。

建物も、人と同じように、ある時間のなかを生きています。時間と共に変化し、家は古くなります。ごく自然に、人といっしょに年を取れる家であればいいのです。家が古くなるにも、美しく古くなる家でありたいと思います。後先を考えて材料を選び、それを使い込み、磨き込み、しっかりメンテナンスすると、自然から生まれた素材は微笑を返してくれます。いずれにしても、時間を経過すると、塗装は剥げ、風雨に晒される部分は朽ち、設備類は壊れます。それらを、あらかじめ予測して、先に先に手を打てば、建物は長く生きてくれます。それは人間の健康と一緒のことです。

人間ドックに入るように、建物も「住まいドック」に入って調べます。いいものをつくって、きちんとお手入れして、長く大切に使う家、それが二百年住宅の基本となる考え方です。

サヤ管ヘッダー工法

樹脂製のさや管の中に本来の給水管を通す二重構造の配管工法のことをいいます。給水管も樹脂製なので錆びず、軟らかくて曲げやすく、鋼管のような継ぎ手がいりません。

維持管理等級3

建物は、構造躯体などの比較的耐用期間が長い部分と、配管や内外装などの比較的耐用期間が短い部分とが組み合わされています。
[建物劣化対策3] で述べました。耐用期間が短い部分は、維持管理対策等級で表されます。
維持管理対策等級は、法律になっている「品確法」による「住宅性能表示制度」の中の一つで、給排水管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易にするために必要な対策の程度を定めたものです。

維持保全計画書と記録書

住まいの維持管理を容易にするために、しっかり計画を立て、また書類にして残します。
あらかじめ計画があれば、それに従って保守・点検・補修・改修できますし、そのとき、書類や図面が保管されていれば、それに基づいて工事を行うことができます。保管場所をしっかりして、いつでも取り出せるようにしておいて下さい。

建物履歴は第三者機関に

建てた時の図面とか、工事店とか、履歴がしっかりしていない維持管理はできません。
当面は、建物履歴と図面の保管を、住まい手と、工務店の両方で行いますが、将来的に第三者機関に記録の保存と履歴管理を委託していくつもりです。